大賓殿宝物館
大賓殿宝物館について
法華宗大本山本能寺は、1415年(応永22年)に日隆聖人が油小路高辻(現・仏光寺付近)に建立した本応寺が前身。
その後1429年(永享元年)、内野(現:西陣周辺)に再建した際、本能寺と寺号を定めた。
他宗による破却や本能寺の変などの戦乱や災難によって5度の焼失、7度の再建を繰り返してきた。
このような災禍をくぐり、守り抜かれてきた宝物が多数現在に伝わり、大寶殿にて展示・公開されている。
「御本尊御曼荼羅」をはじめとする宗教的遺物や檀信徒の豪商・茶屋家寄進の「大明万暦年製景徳鎮窯大瓶」、狩野直信による「六曲一双 唐人物図扇面貼交屏風」、「建盞天目茶碗」など織田信長所蔵の茶道具類や書状、信長に危険を知らせたという唐銅香炉「三足の蛙」などの名品が楽しめる。
展示物について
現在本能寺には、災禍の中、先人たちが命を賭けて守り抜いた宝物が伝わり宝物館にて展示公開しています。
香炉「三足の蛙」
(みつあしのかえる)
伝説によると、本能寺の変の前夜、突然「三足の蛙」が鳴き出し、異変を知らせたという。
梅樹雉雀文様銅鏡:重要文化財
(ばいじゅきじすずめもんようどうきょう)
鏡背文様は、下に洲浜・岩礁・流水を配し、洲浜から梅樹が左上方に伸びる。二羽の雉と多数の雀が飛び交い、水面には梅花が浮かぶ。
このように鏡背面の内・外区に分ける界圏に関係無しに画面一杯写生風に花鳥を描くのは平安末期にはじまっている。
この鏡が本能寺に奉納された目的や時期は不明である。
五彩龍鳳花卉文大瓶「大明万暦年製」景徳鎮窯 : 重要文化財
(ごさいりゅうほうかきおおかめ)
一対の大花瓶は、六角面取り中蕪型。口縁部に「大明萬暦製」の年款銘が染め付けで記されている。
濃麗な萬暦赤絵特有の作例である。
箱書きには
「奉寄進 本能寺常住錦手大花瓶 一対 施主 茶屋中島長右衛門重良 正保二年十月十二日(1645年)」
と墨書されている。
六曲一双・唐人物図扇面貼交屏風:狩野直信画
(ろっきゃくいっそう・
とうじんぶつずせんめんはりまぜびょうぶ)
「朝顔に薄」と「葛に薄」図を背景とする二隻屏風に二十四考をはじめとする中国の故事にもとずく絵を描いた扇面を60枚貼り交ぜている。
扇面の全てには松栄の朱文壺印が捺されており、松栄様の画風であるが個人の作品というより工房作りであろうと考えられる。
作風は永徳の豪華絢爛に対して、おおらかで温かみがある。
またこの屏風は保存状態も良く、松栄の作風を伝える貴重な作品である。
麒麟の香炉 : 織田信長寄進
(きりんのこうろ)
右は獅子であるが、左は麒麟ではなく獬豸といわれる中国の伝説上の動物と思われる。
羊に似ていて頭には角がある。
古代中国では獬豸が現れるのは、王の裁判が公平で正邪を見分けた時であるといわれている。
中国秦の時代に多く造られた。
いずれも胡銅の唐物である。
建盞天目茶碗 : 織田信長所持(けんさんてんもくちゃわん)
古渡り
中国福建省の建窯製の天目
濃茶用である。